2009年12月24日木曜日

" 世界初!!!!!!!! サメの保護区誕生 @ パラオ共和国 "

今回のテーマは

" サメ と 国境 "

です。


環境保護運動が高まる現代に誕生したサメの楽園

一体どのような流れで、誰が、どこに、作ったのでしょうか??果たしてその真意は??

今回はそんなある一つの国にフォーカスを当ててみようと思います。



2009年9月25日
ジョンソントリビオン大統領(右写真)のもと、
世界初のサメの保護地区
パラオ共和国に誕生。   


公用語:英語
首都:マルキョク州
面積:458km2
人口:2万人    

フィリピンから東へ約805キロの沖合いに位置し、太平洋に浮かぶおよそ200の小さな島々からなる、建国間もない世界最小クラスの国。陸地は小さくてもその領海は広大。その面積は60万平方キロ(フランスの国土面積ほど)を超え、その領海全域がサメの保護地区に指定されたました。                            


ジョンソン・トリビオン大統領は、ニューヨークで開催される国連総会を前にした演説で、商業的漁業を禁止したサメの楽園を作ることを発表しました。


記者会見で大統領は以下のように述べ、各国代表に思いを投げかけています。

「健康で身体的に優れたサメは健全な海洋環境でこそ育つ。絶滅の危機に瀕するサメの保護活動を推進していくことを世界に表明する機会に恵まれ、光栄に思っている。また、フカヒレスープを堪能することよりも、海洋環境を守りサメを保護することの方が大切だ。」

パラオ周辺の海域は、
ヒラシュモクザメ
ヨゴレザメ
イタチザメ
をはじめとする約130種の希少なサメと、アカエイ科の魚の生息地や移動経路となっています。



                            左上:シュモクザメ(HummerHead Shark)
          右上:ヨゴレザメ
          左下:イタチザメ(Tiger Shark)    




現在、サメの絶滅の要因の一つとして【漁業】があげられます。

事実、このパラオ共和国がある東南アジアエリア(インド、インドネシア)では世界で見ても非常にサメ漁業が盛んであることが統計的に数値で得られています。

Data1.『 世界のサメ主要漁業国の1998 年から2000 年の間のサメ・エイ類漁獲量(千トン) 』


    インドネシア インド 中国 パキスタン メキシコ 米国 スペイン 日本 その他 合計

1998年  111      75   40    54       37    45    67     34   353   816


1999年  108      77  44     55       35    38    67     37   364   824


2000年  112      72  47     51       35    31    77     33   370   828


ここで、あげられるサメ漁業主要国にはある共通点があります。

  1. 発展途上国(発展途上過程があった。)
  2. 海を持つ
  3. 漁業が盛ん
これらの共通点を満たす国がサメ漁業が盛んになる要因としては、【サメが非常に高タンパク質源であるため】です。サメの持つ一つの魅力ですね。
魚類の中で、高タンパク質なサメは貧しい国においては非常に貴重な食料となっているのです。
事実、日本も一昔前では海岸地方だけでなく山岳地方でも[ワニ]との名称で貴重な食料として活用されていました。

余談ですが、実はパラオ共和国は日本が第一次世界大戦後に統治していたこともあり、非常に親日関係にあるのです!!だから国旗も「日の丸」ならぬ「月の丸」と呼ばれる形・カラーとなっています。
ちなみに、パラオ共和国のうちの一つの島をアントニオ猪木が買って持ってるらしいです。(笑)
1,2,3 ダァーーーーーーーーーー!!!!!



話は戻って…

そんなパラオ共和国が重要な漁業に制限をかけていいのか!?

という疑問がわきますよね。

しかし、今は漁業よりもハイリターン、かつ環境保全にもつながるニュービジネスが生まれているのです。


それは、エコツーリズム(マリンスポーツ)です。


パラオ共和国は、海という恵まれた大自然と生物と上手く共生する道を選んだのです。






このマリンスポーツというのは、サメのもう一つの魅力に気づいた結果生まれたものでもあります。

ダイビングをする人たちの中では、サメ・エイは人気物です。

ジンベエザメ
マンタ
シュモクザメの大群etc...



日頃、われわれが生きる空気層の世界と異なる、水の層 海の世界。

その世界で長い間進化をとげてきたサメ・エイたち。

様々な形・生活様式・色・大きさを持ち最も種類が沢山存在するサメ・エイたち。

そんな彼らと海で出会う感動は、肌で感じた人にしかわからないんでしょうね。

今デジタルな世界になりつつあるからこそ、本当に生で生きる生命に触れることができるマリンスポーツが担う役割は大きなものになりつつあるのかもしれません。


また、問題もあります。

パラオ共和国が持つ広大な海を管理するためのパトロール船はたったの1隻。
また、国民全体からの理解も必要です。



しかし、パラオ政府の保護区指定に協力したピュー慈善団体・環境グループで世界的なサメ保護キャンペーンの責任者を務めるマット・ランド氏は、次のように話しています。

「パラオはサメの保護に向けて最高の道を歩むことになった。これほど明確な方法での保護はないくらいだ」。

ナショナル ジオグラフィック協会の海洋生態学者であるエンリック・サラ氏は、次のように賞賛をもって迎えています。

「今回のパラオの決定はすばらしいニュースで、保護活動の先駆けとなるものだ。海洋生態系を構成するあらゆる生物に役割があるという事実を十分に理解していることの表れだ」。

また、非営利の世界自然保護基金(WWF)の海洋保護担当者であるジル・ヘップ氏は、パラオに続いてほかの国々も同様の行動に出ることに期待を寄せ、次のように述べています。

「サメは海洋で重要な役割を果たす種であるというのに、現状ではほとんど保護されていない。けれども今回のことで、この問題に関する認知度も上がるかもしれない」。




今回のリサーチでわかったことは、サメという長年付き合ってきた生命資源との共生の形は変化せざるを得ないところに来ているということです。


その変化を一番最初にチャレンジングに実行した国が日本よりもとても発展途上なパラオ共和国です。


いずれマリンスポーツというサメとの付き合い方にも変化の時が来ることは、容易に想像できます。

そうした時に恵まれた環境で学問を学べる私たち先進国が取るべき手段とは何でしょうか??

何万年、何億年とかけて築かれた生命・自然の歴史を数年しか生きてない人間によって失うのは、悲しいすぎます。なんとかしたいですね。

よしっ!!近日公開する『OCEAN'S』観に行って何かヒントを得よう。


THE END




2009年12月19日土曜日

" 2009 Shark Camp @ 福岡マリンワールド海の中道 "

今回のテーマは

 "  サメ と 人  "

 です。

10月24日~25日に開催されたイベント

『シャーク・キャンプ』
参加してきました。

過去の内容なのですが、非常に貴重な経験であったので是非書きたいと思いました。

このイベントで学んだことは、『サメの知らない一面を知ったこと』だけではありませんでした。

最も私にとって感動的であったことが、『サメに関心を寄せる人々に出会えたこと』です。

研究者 水族館員 ダイバー メディア記者 カメラマン 一般社会人/小学生

こんなにも幅広い人々を引き寄せるサメ。

ただサメが好きという気持ちに触れることができて、何よりも刺激的でした。このイベントは日本板鰓類研究会主催による福岡マリンワールド海の中道水族館で行われたものです。


福岡マリンワールド海の中道へのアクセスは

福岡空港 ⇒( 福岡地下鉄空港線 )⇒ 博多 ⇒( 鹿児島本線 )⇒ 香椎 ⇒( 香椎線 )⇒ 海の中道 

海に直ぐ近い非常に穏やかな気持ちになれるとっても良い立地です◎
福岡マリンワールド海の中道 ⇒ http://www.marine-world.co.jp/

この『シャーク・キャンプ』とは、より多くの人にサメのことを理解してもらおう という主旨のもと行われました。

1泊2日の充実したプログラム内容。
  1. 研究者による講演       : 仲谷教授、山口教授
  2. サメ公開解剖          : イタチザメ・メジロザメ(各全長2m)
  3. シャークウォッチングダイブ     : 大水槽に潜った水族館員によるライブトーク
  4. 研究者丸秘トーク        : 田中教授&高田館長
  5. 懇親会
  6. 大水槽前でサメを見上げて就寝
  7. サメ頭部解剖体験
 (参加者) 60~70名程 【子供:大人=1:1  男:女=1:2】
  ⇒驚いたのが、女の子が非常に多かったことです。お母さんと一緒に図鑑とノートを握りしめて様々な話をメモする姿勢にはビックリ!!
子供が寄せるサメへの関心は大きいものだということがわかりました。
また、大人陣の中にはダイビングをする人やカメラマン、記者の方がおられました。ダイビングの方はサメが好きというよりかは「怖い!」が故に関心を寄せてしまうといった動機のようでした。



①研究者による講演 

 ・仲谷一宏先生(北海道大学名誉教授)
 「メガマウスについていままでわかったこと。」
  ⇒仲谷先生には一度北海道函館にて訪問をした際にお世話になった先生です。本当に格好イイ先生です。函館でお会いした時は、サメに関心を寄せる私と同じ目線に立って貴重なサメの話を膨大に話していただけただけでなく、様々なサメ~エイ、そして深海魚のホルマリン漬けの貴重なサンプルを一般人の私に見せていただきました。この体験も随時ブログにて報告したいと思います。



上写真は後ほど行われたサメ解剖後で行った記念撮影  / メガマウス


  ・山口敦子先生(長崎大学准教授)

 「身近な海にすむサメ・エイの研究で見たこと&わかったこと。」
サメ界でのプリンセスと呼ばれている山口先生の講演では、様々なサメが私たちの生活の周りに溶け込んでいるというお話をいただきました。
そんな山口先生は現在、有明海の生態環境の調査を行っているとのことでした。
現在、有明海では「トビエイ」が大量発生しており、有明海の生体系が狂っているようです。その環境を正しくするための研究を行っているようです。


②サメの公開解剖(by仲谷先生)
  ⇒今回解剖していただいたのは、2m級のイタチサメ、メジロザメです。仲谷先生には随時マイクを通して解剖しながら説明をしていただきました。
初めて見る間近でのサメの大きさは実際の2mよりも大きく感じました。実際に水中で見ると水の屈折率により、さらに大きく見えるらしいです。
 

解剖を慣れた手つきで綺麗に裁いて解剖していく仲谷先生

③シャークウォッチングダイブ(by森さん)
 ⇒水族館員の森さんがパノラマ大水槽に水中カメラと一緒に潜り、マイクを通して私たちに生で目の前の水槽の中で生きるサメの特性を教えてくれました。
水槽にはエイやイヌザメ、ネコザメなど多種に及ぶサメがいましたが、中でも日本で一番最初に飼育が成功した【シロワニ】との並泳は見ものでした。
  


非常に怖い顔ですが、飼育条件をしっかり整えていれば全く怖い魚ではありません。
その条件とは、餌を毎回しっかりシロワニの口まで持っていって与えてあげることのようです。(他にも勿論多々な細かい条件があると思いますが。笑)
どんなに凶暴なサメでもお腹がいっぱいでは、捕食者としての顔にならないってことですね。

④研究者の丸秘トーク(by 田中先生 & 高田館長)
  ⇒これは日頃感じているサメ&サメ研究者のイメージを参加者と対話しながら無くして行こうという形式の企画。非常に面白かったです。高田館長がメイン司会者で進行を進めて、田中先生が全員の質問に答えていくというものでした。
高田館長が、NHK「その時歴史が動いた」の司会者の松平さんに声がそっくりだったので、妙にシックリきていたのが、また面白かったです。

上写真が福岡マリンワールド水族館 高田館長 / 上(下)写真が東海大学教授 田中先生

この質問会で、私も田中先生に質問を行いました。
その質問とは、【サメのイメージを変える取り組みは行っているのか?】
答え【日本サメ学会が主催するシンポジウムを年2回行うことで、サメの正しい知識を人々に知ってもらう。】
正直な感想としては、こんな素晴らしいサメについてのシンポジウムがあったとは今年まで知りませんでした。 やはり、サメを求めている人でないと辿りつくことができない状況であって、本当に誤解している多くの人々は気づかないでいるという疑問・課題を抱きました。

⑤懇親会

    懇親会は、大人だけの楽しいトークの予定が前半は意外にも、夜更かしなんてへっちゃらな子供たちがまだまだ貪欲に先生たちに話を聞こうとしていました。
 
この懇親会では先生方とほろ酔いで語り合うことができました。

その結果、サメ研究者である先生方の共通点を見つけました。それは、『とっても話すことが好きで、お酒に強い』です。
私も理工学部という全くことなるジャンルの研究室に所属しているのですが、  これまでのイメージとして大学教授は無口でクールなイメージがありました。
しかし、サメ研究者である大学教授先生方は非常に話が面白く、情熱的なハートであるように感じました。

そんな温かい優しさを偶然感じる出来事がありました。それは、右写真です。
なんと当日は水族館館長の高田さんの誕生日でした!!!
水族館員の方々は館長にはサプライズでケーキを用意しており、館長が懇親会の部屋に到着した途端、シャークキャンプ参加者のわれわれ含め全員でHAPPY BIRTH DAYを歌い、お祝いしました。人生で初対面の方の誕生日会に参加したのは、初めてでしたが、何故かそんなことも感じずに自分のことかのように楽しみながら、福岡マリンワールドの優しさを感じてました。
こんな温かい水族館、他にあるんでしょうか??? 改めて、オススメです☆ 

⑥サメを見上げて就寝
 パノラマ大水槽を前にして就寝♪メチャメチャ贅沢な一夜でした。

 
 
⑦サメの頭部解剖体験
 最終日。いよいよ待ちに待った解剖体験!!!!!
全長4m級のイタチザメとアオザメの頭部を解剖。下の写真を見てもわかりますが、サメの大きさがどれほどか、よくわかりますね。
サメの肉が新鮮な時には美味しいという話を聞いたサメ好きな人が解剖したてのサメの肉も食べてました。笑   コリコリしてヒラメの縁側のようだという貴重な感想も得ることができ、いろんな意味で自分の未熟さを感じました。

 
 



この解剖体験を終えて、価値の高いお土産を持って帰ってきました♪




サメの歯ですね♪非常に大きい!!!こんなサイズのサメの歯はなかなか手に入らないのでとても嬉しいです。

***帰省***

このシャークキャンプを通して、強く感じたことがあります。それは、

やっぱりサメ大好きッ!!!!!!!!!!

サメは言葉を持っていませんが、何億年も前から進化しながら生き続けている貴重な種。
そんなサメを改めて魅力的に感じました。
それも、サメという生物だけのために、どれほど多くの人が関わって生きているのかという『人と動物の関係』の大切さを強く肌で感じたためです。

次はサメ本人に会いに行こうと思います。(LET'S Go!!SouthAfrica!!Mexico!!)

THE END









2009年12月10日木曜日

" Audi Shark " ( Audi社デザインコンペ最優秀賞 / 2009 3・18 )

今回のテーマは

 サメ と デザイン( Art  ) "
です。
紹介する事例は、独Audiと、ミラノを代表するデザイン専門の大学院大学 ドムス・アカデミー(*1)の共催で行なわれたデザイン・コンペの最優秀作品

Audi Shark  】

です。

(*1)ドムス・アカデミー … ミラノにある有名なデザイン専門大学。25年という歴史を持ち、様々な有名なデザイナーを排出している。 ex ). Joseph Forakis( 米 ) / 世界初のローテーター式携帯「Motorola V70」デザイン担当
                        

この作品はトルコ・イズミール在住の若干26歳の Kazim Doku氏( 下写真 )のデザイン。






この作品は自動車ではなく、ホバークラフト として描かれたものです。             
ホバークラフトとは、地上・水上・氷上を区別なく進めるマルチ乗用車です。
これまでも沢山ホバークラフトは作られてきましたが、軍用から観光ようまで様々です。
(日本でも1970年より伊勢、大阪、鹿児島、大分などで観光船などとして運航されていたが2009年3月に全て運航停止・解体された。)




上記の左が日本製(三井造船)、右がアメリカ製(アメリカ海軍)です。下写真が Audi Shark。




いずれと比較しても、 【 Audi Shark 】 は普通に格好イイですよね。

このAudi SharkのデザインしたDoku氏は、Audi社のデザイナー:Walter de'Silvaのデザインスタイルを模倣しようとしたと語っています。( http://wiredvision.jp/news/200903/2009031823.html )

と同時に、彼は
 「 Audi の簡潔で完璧なラインを反映させて、超スポーティな乗り物をデザインした。 」
と述べています。





 Audi( ブランドイメージ )

     = 『 MODERN

           『 COOL

                『 FRONTIER




すなわち、





 Audi × Sportyデザイン
 
          = Audi Shark

この Audiブランド Sportyイメージ をもとにデザインされたのが、 Audi Shark です。



では、
何故 Adui  × 『 Shark 』 なのか?( Shark を選んだのか。)


この答えは、サメの生きる環境サメの立場にあると考えられます。




①サメの生きる環境 

          = 【 海 】 


  = 『水圧』『水による抵抗』 
    
  = 地上より困難な環境


②サメの海界での立場 

            =   捕食者




すなわち

サメ陸上動物よりも困難な環境

の中で、素早く泳ぐイルカやオットセイを狩り生き抜いていく捕食者です。
そのため、長い歴史を通して生き抜くために、スムーズに泳ぎ狩りをするために
水の抵抗を最小限に抑えた

BodyLine

に進化しました。

事実、Doku氏は自身のブログで
Outside the car what attracts people is the system of the paddles.These paddles are designed by the effect of a shark and it provides the car to speed up with a balance and control and to complete the concept of the car.
と述べている。

この過酷な自然環境の中で、食物連鎖のTopに君臨し続けた結果進化した
メのBodyLineが美しい


考えるのは、私だけでしょうか??おかしなことでしょうか??





これは、古代の著名な建築家を見れば当然のことであると考えられます。

上図はマルクス・ウィトルウィウス・ポリオ(建築家)の『建築論』で挿絵を

描いた、レオナルド・ダ・ヴィンチウィトルウィウス的人体図』です。

この著書で、ウィトルウィウスは

『人体こそが建築様式のオーダーにおける

                重要な構成要素であるとしている。』

と述べています。


自然界食物連鎖の頂点に位置する人間


海洋自然界食物連鎖の頂点に位置するサメ




   芸術と人間  



   芸術とサメ




果たして、Kazim Doku氏がサメに関してどれほど関心を寄せていたかは明らかではありません。
ですので、私なりに行動して検証してみます。
また、近い将来Kazim Doku氏にお会いして是非聞いてみたいと思います。
その時には必ず報告しますので、期待しててください。


End