" サメ と 国境 "
です。
環境保護運動が高まる現代に誕生したサメの楽園。
一体どのような流れで、誰が、どこに、作ったのでしょうか??果たしてその真意は??
今回はそんなある一つの国にフォーカスを当ててみようと思います。
2009年9月25日
ジョンソントリビオン大統領(右写真)のもと、
世界初のサメの保護地区が
パラオ共和国に誕生。
公用語:英語
首都:マルキョク州
面積:458km2
人口:2万人
フィリピンから東へ約805キロの沖合いに位置し、太平洋に浮かぶおよそ200の小さな島々からなる、建国間もない世界最小クラスの国。陸地は小さくてもその領海は広大。その面積は60万平方キロ(フランスの国土面積ほど)を超え、その領海全域がサメの保護地区に指定されたました。
ジョンソン・トリビオン大統領は、ニューヨークで開催される国連総会を前にした演説で、商業的漁業を禁止したサメの楽園を作ることを発表しました。
記者会見で大統領は以下のように述べ、各国代表に思いを投げかけています。
「健康で身体的に優れたサメは健全な海洋環境でこそ育つ。絶滅の危機に瀕するサメの保護活動を推進していくことを世界に表明する機会に恵まれ、光栄に思っている。また、フカヒレスープを堪能することよりも、海洋環境を守りサメを保護することの方が大切だ。」
パラオ周辺の海域は、
ヒラシュモクザメ
ヨゴレザメ
イタチザメ
をはじめとする約130種の希少なサメと、アカエイ科の魚の生息地や移動経路となっています。
左上:シュモクザメ(HummerHead Shark)
右上:ヨゴレザメ
左下:イタチザメ(Tiger Shark)
現在、サメの絶滅の要因の一つとして【漁業】があげられます。
事実、このパラオ共和国がある東南アジアエリア(インド、インドネシア)では世界で見ても非常にサメ漁業が盛んであることが統計的に数値で得られています。
Data1.『 世界のサメ主要漁業国の1998 年から2000 年の間のサメ・エイ類漁獲量(千トン) 』
インドネシア インド 中国 パキスタン メキシコ 米国 スペイン 日本 その他 合計
1998年 111 75 40 54 37 45 67 34 353 816
1999年 108 77 44 55 35 38 67 37 364 824
2000年 112 72 47 51 35 31 77 33 370 828
ここで、あげられるサメ漁業主要国にはある共通点があります。
- 発展途上国(発展途上過程があった。)
- 海を持つ
- 漁業が盛ん
これらの共通点を満たす国がサメ漁業が盛んになる要因としては、【サメが非常に高タンパク質源であるため】です。サメの持つ一つの魅力ですね。
魚類の中で、高タンパク質なサメは貧しい国においては非常に貴重な食料となっているのです。
事実、日本も一昔前では海岸地方だけでなく山岳地方でも[ワニ]との名称で貴重な食料として活用されていました。
ちなみに、パラオ共和国のうちの一つの島をアントニオ猪木が買って持ってるらしいです。(笑)
1,2,3 ダァーーーーーーーーーー!!!!!
話は戻って…
そんなパラオ共和国が重要な漁業に制限をかけていいのか!?
という疑問がわきますよね。
しかし、今は漁業よりもハイリターン、かつ環境保全にもつながるニュービジネスが生まれているのです。
それは、エコツーリズム(マリンスポーツ)です。
パラオ共和国は、海という恵まれた大自然と生物と上手く共生する道を選んだのです。
このマリンスポーツというのは、サメのもう一つの魅力に気づいた結果生まれたものでもあります。
ダイビングをする人たちの中では、サメ・エイは人気物です。
ジンベエザメ
マンタ
シュモクザメの大群etc...
日頃、われわれが生きる空気層の世界と異なる、水の層 海の世界。
その世界で長い間進化をとげてきたサメ・エイたち。
様々な形・生活様式・色・大きさを持ち最も種類が沢山存在するサメ・エイたち。
そんな彼らと海で出会う感動は、肌で感じた人にしかわからないんでしょうね。
今デジタルな世界になりつつあるからこそ、本当に生で生きる生命に触れることができるマリンスポーツが担う役割は大きなものになりつつあるのかもしれません。
また、問題もあります。
パラオ共和国が持つ広大な海を管理するためのパトロール船はたったの1隻。
また、国民全体からの理解も必要です。
しかし、パラオ政府の保護区指定に協力したピュー慈善団体・環境グループで世界的なサメ保護キャンペーンの責任者を務めるマット・ランド氏は、次のように話しています。
「パラオはサメの保護に向けて最高の道を歩むことになった。これほど明確な方法での保護はないくらいだ」。
ナショナル ジオグラフィック協会の海洋生態学者であるエンリック・サラ氏は、次のように賞賛をもって迎えています。
「今回のパラオの決定はすばらしいニュースで、保護活動の先駆けとなるものだ。海洋生態系を構成するあらゆる生物に役割があるという事実を十分に理解していることの表れだ」。
また、非営利の世界自然保護基金(WWF)の海洋保護担当者であるジル・ヘップ氏は、パラオに続いてほかの国々も同様の行動に出ることに期待を寄せ、次のように述べています。
「サメは海洋で重要な役割を果たす種であるというのに、現状ではほとんど保護されていない。けれども今回のことで、この問題に関する認知度も上がるかもしれない」。
今回のリサーチでわかったことは、サメという長年付き合ってきた生命資源との共生の形は変化せざるを得ないところに来ているということです。
その変化を一番最初にチャレンジングに実行した国が日本よりもとても発展途上なパラオ共和国です。
いずれマリンスポーツというサメとの付き合い方にも変化の時が来ることは、容易に想像できます。
そうした時に恵まれた環境で学問を学べる私たち先進国が取るべき手段とは何でしょうか??
何万年、何億年とかけて築かれた生命・自然の歴史を数年しか生きてない人間によって失うのは、悲しいすぎます。なんとかしたいですね。
よしっ!!近日公開する『OCEAN'S』観に行って何かヒントを得よう。
THE END
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